住民基本台帳法の従前の住所について(総務省)

政治家女子48党浜田聡事務所が運営する「諸派党構想・政治版」を利用し、総務省に質問を行いました。制度を設置された浜田聡参議院議員、ご対応いただいた末永議員秘書にはこの場を借りて御礼を申し上げます。

質問

住民基本台帳法(以下単に「法」)についてお尋ねします。

住民票に記載しなければならない法定項目の一つとして「新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については、その年月日)及び従前の住所」との規定があります(法7条8号)。
この規定は、条文の通り、無条件に転居前住所を記載しなければならないという規定ではありません。

この条文に従えば、千代田区霞が関一丁目で出生し千代田区霞が関二丁目に転居した場合の「従前の住所」は空欄となり、大阪市中央区から千代田区霞が関一丁目、千代田区霞が関二丁目と転居した場合の「従前の住所」は大阪市中央区となるはずです。
しかしながら、各地方公共団体で住民票の写しの交付を受けた際の「従前の住所」の欄の記載の内容は、上記の通りとならない場合があることがわかりました。
また、地方公共団体において「従前の住所」を転居前住所のことと誤解している担当者も多く見受けられました。

住民記録システム等標準化検討会が策定中の『住⺠記録システム標準仕様書【第3.0版】』においても、従前の住所が転居前住所と混同されていることが指摘されており、代わりに「転入前住所」という語を用いて要件を定義している状況であることもわかりました。

以上を踏まえて質問します。
・総務省として、地方公共団体によって「従前の住所」の欄の運用が異なっていることは認識しているか。
・地方公共団体によって「従前の住所」の欄の運用が異なっていることは問題があると考えているか。
・地方公共団体によって「従前の住所」の欄の運用が異なっていることについて、法の規定通りになっていないこと、および個人情報保護の観点からも好ましくないと考えるが、地方自治法に定める是正の要求あるいは助言・勧告を行うことはないのか。
・「地方公共団体の基幹業務等システムの統一・標準化」により、住民記録システムが一律の要件定義に基づいて統一された後は、このような「従前の住所」の欄の地方公共団体によるばらつきは解消されるか。
よろしくお願いします。

回答

住民基本台帳法第7条第8項で規定する「従前の住所」とは、転入をした者の
転出地における住所をいい、転出証明書に記載されている住所と一致するもの
であると解しており、住民基本台帳事務処理要領においても同様の旨を記載し
ておりますので、各地方公共団体はこれに沿って適切に事務を行っているもの
と認識しております。

住民記録システム標準仕様書【第 3.0 版】においては、「従前の住所」という
用語について、転居前住所のことを指すと誤解を招く可能性があるため、法律上
の用語ではなく「転入前住所」という用語を示しております。これにより、項目
の内容が分かりやすくなり、業務の効率化も図られるものと考えております。

【参考】住民基本台帳事務処理要領より抜粋
第 2-1―(1)
コ 従前の住所(法第7条第8号)
転入をした者について転出地の住所を記載する。従前の住所は、原則として、転出証明
書に記載された住所と一致する。(略)

(2023年4月15日)
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