動画圧縮技術について(日本放送協会)

浜田聡事務所が運営する「諸派党構想・政治版」を利用し、日本放送協会(NHK)に質問を行いました。制度を設置された浜田聡参議院議員、ご対応いただいた湯本様、およびご回答いただいた日本放送協会様にはこの場を借りて御礼を申し上げます。

質問

これまで、NHKは動画圧縮コーデックにおいて、MPEG-2/MPEG-4 AVC/MPEG-H HEVCと約20年にわたってコミットした結果、NHKを含む複数の日本企業がパテントプールに参加することができ、NHKのみならず日本企業にとって少なくない副次収入となってきたものと理解しています。
そして、ポストHEVCとして制定されたVVCのライセンサーリストにも、AVCと比べて大幅に日本企業の名前が減る中でもNHKの名前が載っており、従来のようにいけばNHKの特許収入が見込まれたと思います。

しかしながら、MPEG系技術への特許使用料の支払いを嫌ったGoogleを中心とする陣営が「AV1」という既存特許を回避した動画圧縮技術を推進しているという状況です。特許を回避した影響でデコード時の負荷がMPEG系技術より高く、回路実装とする場合もMPEGより大規模になるためハードウェアデコーダーも長い間普及してきませんでしたが、昨今ではiPhone 15 ProにもAV1のハードウェアデコーダーが内蔵されるなど、MPEG系技術に劣後する点がなくなりつつあるという現状があると考えます。

日本では「次世代放送システム」にVVCが内定したため、テレビ受像機はVVCが使用されることとなる一方で、国内外におけるインターネットでの動画ストリーミングでは、先に述べた潮流からするとAV1が段階的に普及する可能性が高いと考えます。

そこでお尋ねですが
1.NHKでのAV1の現時点での使用状況について教えてほしい。
2.AV1を使用していない場合、NHKのネット配信や、NHKプラスでは今後AV1を使用する可能性はあるか。
3.NHKとしてのAV1、および非MPEG系動画圧縮規格へのスタンスについて教えてほしい。
4.AV1の次世代規格、および非MPEG系動画圧縮規格の策定にNHKが参加する可能性について。参加する場合、日本国民の受信料を世界中のために使うことになるが、現行の仕組みで可能なのか。
5.非MPEG系動画圧縮規格を使用する場合、NHK会計のうち、放送技研が一定の予算を使ってきた理由付けが成立しなくなるのではないか。
6.受信料の意義のひとつとして、放送技術の研究開発があると思うが、この「放送技術」はこれまで事実上放送システム(ISDB)とMPEG系動画圧縮規格のことを指してきたと思う。今後、非MPEG系動画圧縮規格がMPEGよりも普及した場合、少なくともその点では役目を果たすことが難しくとなり、研究開発に充てるべき部分の受信料は下げなければならないという見方もできるが、この点についてどう考えているか。

回答

① 現在、NHKのサービスを支える設備のなかで、AV1を使用しているものはありません。
② 今後のAV1普及状況等を踏まえて、活用するかどうかを判断していきます。
③ 現時点では、NHKのサービスを支える設備において、AV1、および非 MPEG 系動画圧縮規格の導入は想定していません。
今後の普及状況等を踏まえて、活用するかどうかを判断していきます。
④ 現時点では、NHKでは、AV1の次世代規格、および非 MPEG 系動画圧縮規格の策定に参加する予定はありません。
⑤⑥ 研究内容については技術的な潮流を見極めつつ適切に判断しており、研究成果についても、広く一般に公開し、幅広く社会還元しています。
今後も、放送およびその受信の進歩発展に必要な調査研究を進めて、メディア業界の発展に貢献していきます。

(2023年11月10日)
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